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A.実施内容
@情報収集 要介護者の生活環境、既往歴、現症、主訴等を、担当保健婦、介護支援事業者または担当医療機関から情報提供を受け、事前に状況を把握して訪問口腔指導記録票に記入しておく。 A概要の観察 訪問時、全身状態や生活環境を観察し、本人や介護者に現在の介護状況並びに口腔ケアの意向を調査する。 B口腔内観察 う歯、歯肉、義歯使用状況等口腔内観察を行い、口腔内所見の記録、及び口腔清掃度や摂食機能の状態を診査し、訪問口腔指導記録票に記入する。 Cケアプラン作成 問題点を把握し、その課題分析(アセスメント)を行い、指導計画(口腔ケアプラン)の作成に着手する。 Dケアプラン報告 本人、介護者、介護支援事業者、担当医療機関にケアプランの報告並びに承諾を得る。 E実技指導 口腔清掃、義歯の取扱い、摂食嚥下指導等を実施し、内容を訪問口腔指導記録票に記載する。 F評価 必要に応じてケアプランの再評価を行い、今後の方針を決定する。
B.注意事項
@指導よりも実行 いきなり問題点を指摘して刷掃指導を行うのではなく、口腔内の状態と口腔清掃の担当(介護者)者、方法、回数などを確認する。その上で一つずつ本人や介護者が理解できる範囲で問題点を確認しあい、実行して見本を示すことが重要である。 A介護者に過度の期待はしない 介護者は歯科医師、歯科衛生士と同じ動作をただちに習得できない。また他人の口腔清掃をした経験のない介護者の場合は、まず口腔に触れることの抵抗感を除去することから始まる。更に介護者が高齢の場合は新しい習慣を学習してもらうには困難を伴うことが多い。 B本人の自立を促す 少しでも自立度を回復してもらうために、移動できる場合は洗面所に移動してもらったり、移動できない場合でも座位や上半身を病状に応じて起こし、なんとか動かせる手や腕を使って、できる限り自分で歯を磨くための訓練を重視する。 C人格の尊重 当然のことながら、たとえ重度の痴呆や障害を負っている場合でも、決して幼児語や命令口調で指導することなく、症状や要望をできるだけ聞き取るようにする。 Dやる気をおこさせる”声かけ”を心がける
例1: 一つ一つの動作に声を添える「じゃあ今度は右下の奥歯を磨きますよ」 例2: 不十分な点を非難せず、よかった点をほめる「そうそう、上手にできましたね」 例3: 今まで行ってきた磨き方に、ほんの少し追加するか、改良する「その磨き方でいいですけど、もう少し小さく動かしてみましょうか」 例4: わかりやすい言葉で歯の知識を説明する「歯垢はバイキンの塊ですので、これを取ってやると歯痛や歯ぐきの腫れが治りますよ」 例5: 常に様子をうかがい、疲れに「配慮する言葉をかける「いかがですか、お疲れはないですか」 例6: 清掃の効果を強調し、自信を持たせる「さっぱりしましたね、気持ちいいでしょう」
C.ブラッシング指導の基本
※感染防止のため、グローブの装着、事前・事後の手指の消毒を心がける。 (1)歯ブラシ
@形 柄の部分、毛の部分共まっすぐなもの A大きさ 小さめ(上前歯2本ぐらい) B硬さ 歯肉の状態に応じたもの 健康な歯肉:M(メディアム) 炎症あり:S(ソフト)SS(スーパーソフト) C毛の材質 ナイロン(豚毛はダメ) D工夫 握りやすいように加工する(曲げる場合は毛先にホイルを巻き、ろうそくで曲げる)
E補助清掃用具 歯間ブラシ・デンタルフロス・舌ブラシ (2)歯磨き粉 原則として使用しない。本人に汚水(口の中の汚れ)の確認をしてもらうためにも使用しない。自立に近く、嚥下障害がなく、含嗽できるなら米粒程度にとどめる。 (3)回数 毎食後。その内1回はゆっくり丁寧に磨く。 (4)磨き方
@ 歯ブラシの毛先を、歯と歯肉の境目に当て、毛の方向が45°〜90°の角度になるようにする。 A 毛先が歯と歯の間に入り込むように届かせ、適度な力で歯を押さえる。 B 押さえたまま、歯ブラシをその場所でわずかに前後に振動・往復させる。 C 歯ブラシの毛先(つま先/かわき/かかと)を使い分け、歯と歯肉の境目に当て、一本ずつきれいにする。 D 力を入れすぎないために、歯ブラシは鉛筆を持つように持つ。 E 歯並びが悪く、凹凸している部分は歯ブラシを縦にしたり、斜めにして毛先が当たるように工夫する。 F 入れ歯の止め金がかかる歯は特によく磨く。 G 前後に歯がない孤立歯は、ガーゼ磨き(適当な幅に切り歯頚部にからませて磨く)も有効。 H 歯と歯肉の境目(歯頚部)は特によく磨く。
D.うがいや経口飲食が可能な基準
@意識 呼びかけで容易に反応する。 A嚥下 流唾がなく、空気を口にためて飲み込むことができる。 B咳嗽反射 因頭部を綿棒で刺激すると咳をする。または甲状軟骨上部を指で圧迫すると咳をする。 C口唇・舌・咀嚼運動 口唇を閉じることができる。 舌の運動が可能。 閉口でき、上下歯の咬合ができる。
F.介助を要しない場合のブラッシング指導の実際
(1)要点
@ 一回の指導は5分以内にとどめる。 A 歩行可能や車椅子等で移動可能の場合は洗面所で行う。不可能でもできるだけベッド以外の場所で行う。 B 本人のみならず、介護者にも付き添ってもらい、手順を理解してもらう。 (2)用意するもの ぬるま湯/吸い飲み、コップ、ストロー等/歯ブラシ・歯間ブラシ・フロス・舌ブラシ・義歯ブラシ/ガーグルベースン・ボール、ペットボトル、カップラーメンの空容器等/含嗽剤/手鏡/タオル、エプロン、ティッシュ等 (2)体位について 可能であれば座位で行う。体位が不安定にならぬよう、背中にクッションを置いたり側面を枕で支えたりする。 誤嚥を避けるため、うがいの時にはやや前かがみにする。 (3)ブラッシング指導
(A)前処理 @ 胸元にタオルをあてる。 A 義歯があれば本人にはずしてもらう。 B 口腔内を観察する。 C 最初にうがいをしてもらう。必要があれば、ガーグルベースンを口元に持って行き受け止め、吐き出し終わると同時にタオルで口元を押さえる。 D 本人に日頃行っている方法で磨いてもらう。 E 改善点は最初から指摘せず、機能的に支障がなければ以下のブラッシング指導を行う。 (B)術者(歯科医師・歯科衛生士)磨き @ 歯ブラシの当て方、動かし方について本人や介護者に指導し、本人や介護者と一緒に工夫しながら毛先磨きをする。このとき本人に手鏡で観察してもらう。 A 毛先を積極的に歯肉溝(歯と歯肉の境目)、歯間部へ到着させ、その部へ適度な刺激を加える。(快感磨き) B 対面で手を添えて磨いてあげ、毛先が当たっている感触を覚えてもらう。 C 歯ブラシの汚れは、その都度コップのぬるま湯で洗う。 D 舌苔がある場合は舌ブラシもしくは歯ブラシで清掃する。 E 用具の改善や工夫の必要があれば指導する。 F うがいをしてもらい、必要があれば、ガーグルベースンを口元に持って行き受け止め、吐き出し終わると同時にタオルで口元を押さえる。 (C)本人磨き @ ひととおり歯磨きをした時点で本人にやってもらう。 A 本人が上手にできるように、分かりやすく指導する。 B 舌の清掃や義歯の手入れも指導する。 C 最後は自分で「ここまでできた」という達成感や、「さっぱりして気持ちが良い」という爽快感で終わらせる。 (D)後処理 @ タオルで周囲を拭く。 A 口腔内を観察し、問題がないか確認する。 B 義歯を装着してもらい、必要に応じタオルと背部の枕等を取り除き、楽な姿勢にさせる。 介助を要する場合のブラッシング指導は、介助者が行う口腔ケアのページへ
G.義歯の取扱い
(1)取扱い上の注意 不潔な義歯の装着は、不快感、悪臭、義歯性口内炎、口角炎、カンジタ性口内炎、カンジタ性肺炎の原因となり得ることを説明する。
@ 清潔に保つ・・・義歯とその周辺歯肉が不潔になりやすい。 A 就寝時は外す・・・歯肉を休ませる事と誤飲の防止。 B 自分で削ったり曲げない・・・かえって不適合になる。 C 落としたり熱に近づけない・・・破損、変形の防止。 (2)着脱
@ それぞれコツがある。 A 両手で持ち、同じ力、同一方向にポンとはずし、装着する場合はその逆の方向から入れる。 (3)洗浄
@ 毎食後取り外し、歯ブラシや義歯ブラシを用いて十分に水洗する。 A 入れ歯安定剤は、きれいに除去して洗浄する。 B 家庭用中性洗剤を使用しても構わない。 C 特にクラスプ(止め金)部分を丁寧に洗う。 D 落として破損しないように、水の張った洗面器の上で行う。 E 過度の力で握ると、破損することがあるので注意する。 F 歯みがき粉は義歯が磨耗するので使用しない。 G 市販の入れ歯洗浄剤(ポリデント等)も使用するが、部分入れ歯の場合、部分入れ歯専用洗浄剤でないと止め金が腐食して折れやすくなるので注意が必要。 (4)保管
@ よく洗浄した後、水につけて保管する。水は毎日取り替える。 A 一週間以上はずしたままでいると、合わなくりやすいので、はずしたままにしない。病状により、やむを得ずはずしている場合は、病状が好転すれば早期に使用する。
ケース別実践方法
0 口腔ケアの基本 1 介助者が行う口腔ケア 2 口腔乾燥症の口腔ケア 3 痴呆症の口腔ケア 4 摂食・嚥下障害の口腔ケア 5 誤嚥性肺炎の口腔ケア 6 経管栄養の口腔ケア 7 片麻痺の口腔ケア
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